今回は、バロック時代の作曲家ジャン=マリ・ルクレールの『2つのヴァイオリンのためのソナタ』をお届けします。
バロックという言葉は、もともと「バロッコ」(Barocco)という言葉に由来し、これは「歪んだ真珠」を意味すると言われています。バロック音楽は、それまでの安定した教会音楽に対して、楽器の発達と新しい奏法の登場によって、例えばヴィヴァルディの『四季』など、より速く、豊かに、そして劇的に動く表現力を獲得した新しい時代の音楽を指しますが、これが当時の人々にとってはとても過激な音楽に聞こえたのではないかと考えられます。
フランスでは、ルイ14世が自ら舞踏(バレエ)を踊った影響で、その音楽文化は舞踏と強く結びつきました。このルクレールのソナタにおいても、3拍子系のジグや2拍子系のガボットなど、舞曲のステップのリズムが各楽章に反映されています。
ルクレールは、ルイ15世の時代にヴェルサイユ宮殿に呼ばれ、またオランダ貴族の宮廷(オラニエ公家)で楽長を務めるなど、高い地位にいましたが、最後は貧民街で惨殺体で発見されるという悲劇的な最期を遂げています。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】ジャン=マリ・ルクレール作曲 『2つのヴァイオリンのためのソナタ』
ステラ・チェン /ヴァイオリン(Strad. Violin1708"ハギンス"
イム・ジョン /ヴァイオリン(Strad. Violin1717"サセルノ")
(2024年1月25日サントリーホール・ブルーローズにて演奏・収録)
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
ダリウス・ミヨーの「2つのヴァイオリンとピアノのためのソナタ」の第3楽章です。
この作品には様々な作曲家の作風が混在していますが、この多様性は、彼がパリ音楽院で師事したポール・デュカスの影響が流れとしてあるかもしれません。デュカスは、表面的なものだけでなく、深みのある音を考える作曲家であり、ミヨーもその深い思考を教え子に引き継がせた可能性があります。
第二次世界大戦期以降は、カリフォルニアのミルズカレッジなどで教鞭を取るなど、アメリカで活躍。彼の著名な教え子としてデイヴ・ブルーベック、バート・バカラック、フィリップ・グラスといった幅広い分野の音楽家がいます。
今回の演奏に使用されたストラディヴァリウスの貴重な名器としての来歴や、それを貸与する日本音楽財団の活動についても触れられています。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】ダリウス・ミヨー作曲 『2つのヴァイオリンのためのソナタ』第3楽章
樫本大進 /ヴァイオリン(Strad. Violin1722"ジュピター"
佐藤俊介 /ヴァイオリン(Strad. Violin1725"ウィルヘルミ")
市野あゆみ/ピアノ
(2004年4月4日Universität Mozarteum Salzburg Großer Saal にて演奏・収録)
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
ダリウス・ミヨーの「二つのヴァイオリンとピアノのためのソナタ」の第2楽章です。
バロック時代の成熟した、トリオ・ソナタという、声部も形式も三部で成り立つ、音楽的にも基本となる形式に、多彩な様式の音楽を巧みに紡ぎ込む手法が際立つ技法は秀逸です。
ミヨーの作風を語る上で「折衷主義」という言葉が使われることがありますが、西洋におけるこの概念には二つの考え方があります。一つは、複数のものから良いところを「抽出」して組み合わせるエクレクティシズム、もう一つは、複数のものを混合するシンクレティズムです。
ミヨーは、後者の「混合」に近いと考えられます。様々な作曲家の多様な要素を合わせることで、まるで色を混ぜて全く別の色を生み出すように、独自の音楽を作り上げました。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】ダリウス・ミヨー作曲 『2つのヴァイオリンのためのソナタ』第2楽章
樫本大進 /ヴァイオリン(Strad. Violin1722"ジュピター"
佐藤俊介 /ヴァイオリン(Strad. Violin1725"ウィルヘルミ")
市野あゆみ/ピアノ
(2004年4月4日Universität Mozarteum Salzburg Großer Saal にて演奏・収録)
【協力】日本音楽財団
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
今週から3回に渡り、ダリウス・ミヨーの『2つのヴァイオリンのためのソナタ』をお送りします。
商取引で財を成した非常に裕福な家庭で、音楽に憧憬が深い両親に育てられ、10歳の時にはドビュッシーのオペラ『ペレアスとメリザンド』の楽譜を見ていたほど音楽的にも早熟でした。
パリ・コンセルヴァトワールで学びながら、ほかの作曲家から多くの影響を受けたかたわら、彼らの作風を自由に巧みに自らの作品に取り込みました。
それがミヨーの曲の中で独自の多様性となって現れました。また、ドビュッシーやサティのように、様式から逸脱することなく、形式感を保っていることも特徴のひとつです。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】ダリウス・ミヨー作曲 『2つのヴァイオリンのためのソナタ』第1楽章
樫本大進 /ヴァイオリン(Strad. Violin1722"ジュピター"
佐藤俊介 /ヴァイオリン(Strad. Violin1725"ウィルヘルミ")
市野あゆみ/ピアノ
(2004年4月4日Universität Mozarteum Salzburg Großer Saal にて演奏・収録)
【協力】日本音楽財団
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団
今週も、エルネスト・ショーソンの『詩曲』です。
ブルジョワ出身のショーソンは、よくヨーロッパ各国を旅していたようです。その中で偶然バイロイトでワーグナーを聞く機会があり、その後セザール・フランクと共に彼の地をしばしば訪れることとなります。もともとオーケストラ版で書かれたこの『詩曲』も内性が厚く、ワーグナーの影響が色濃く出ています。
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【出演】中田昌樹(指揮者)
【演奏】アーネスト・ショーソン作曲 『詩曲』(ピアノ版)
ヴィヴィアン・ハーグナー /ヴァイオリン(Strad. Violin 1717 " サセルノ")
サイモン・クロフォード-フィリップス/ピアノ
(2001年4月18日ストックホルムのThe Royal Churchにて演奏・収録)
【協力】日本音楽財団
イントロ&エンディング ドビュッシー『小さな黒人』 江澤隆行
【提供】笹川日仏財団