市場の風を読む

Morgan Stanley

FRB、フットボール、そして不確実性の対価

10 СЕН, 20268 МИН

Описание

弊社の債券リサーチ・グローバル責任者であるアンドリュー・シーツが、FRBの政策、AI関連の資金調達、エネルギー供給を巡る不確実性に対して、市場が投資家に十分な対価を支払っていない可能性があるのはどのようなときか解説します。 このエピソードを英語で聴く。 トランスクリプト 市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。 本日のエピソードでは、弊社の債券リサーチ・グローバル責任者であるアンドリュー・シーツが、アメリカンフットボールを題材に、不確実性の価値について何を学べるのかについて考察します。 このエピソードは9月10日にロンドンにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 私はこの季節が本当に好きです。外は少し涼しくなりました。街には新学期の始まりを告げる高揚感が漂っています。そして何より、ようやくアメリカンフットボールのシーズンがやって来ました。2025年に米国で放送されたテレビ番組の視聴者数上位100本のうち、90本はフットボールの試合でした。社会の分断が進み、コンテンツの視聴環境もますます細分化するなかで、これほど多くの人々の関心を集めていることは驚異的です。フットボールの人気を説明する要因は数多くありますが、時間とともに私がより実感するようになったものの一つが、その戦略的な複雑さ、とりわけ不確実性の価値です。 次のプレーがランなのかパスなのかを悟られないようにすること、ブリッツを仕掛けるのか、仕掛けるならどこからなのかを隠すこと。コーチたちは最後の瞬間まで選択肢を残しておこうと懸命に努めます。そして9月を迎えるなかで、この戦略はフットボールだけに限られるものではありません。 FRBを例にとってみましょう。市場は来週の利上げを約3分の2の確率で織り込んでいます。これは、NFLのチームがセカンド・アンド・セブンでパスを選択する確率とほぼ同じです。この不確実性の一因は、ジャクソンホールでのウォーシュFRB議長の発言をどのように読み解くかにあります。ウォーシュ議長は、基調的インフレ率が「明確に、かつ十分な速さで」目標に向かっているとFRBが確信する必要がある、と述べました。向かっていなければ、FRBには「なすべきことがある」と指摘しています。これは一般的に、利上げに一歩近づいたものと解釈されました。しかし、本当にそうなのでしょうか。十分な速さとは何を意味するのでしょうか。基調的インフレ率とは何を指すのでしょうか。そして「なすべきことがある」とは実際にはどういう意味なのでしょうか。結局のところ、弊社のエコノミストが予想するように年後半にインフレが改善するのであれば、この枠組みは同じくらい簡単に、何もしないという判断を正当化し得ます。弊社は、FRBが来週、金利を据え置くと予想しています。もっとも、これは確かにきわどい判断です。 次に、AI関連の資金調達における不確実性があります。ここでの金額は非常に大きなものです。弊社のアナリストは、2027年に大手ハイパースケーラー6社の支出が1兆3,000億ドルを超えると予想しており、これは今年の記録的な水準から60%の増加になります。ただし、これだけの資金がどのように調達されるのかは、あまり明確ではありません。投資適格債から資産担保証券、直接金融から保証まで、パブリック市場とプライベート市場をまたいだ資金調達の選択肢はますます豊富になっています。支出自体は実現する可能性が高いように見えますが、その形態や他の市場にどの程度影響を及ぼすかは、より不確実です。私の同僚であるマシュー・ホーンバックとヴィチー・ティルパットゥールは今週初め、こうした不確実性の一部と、それが米国債利回りに及ぼし得る影響について説明しました。 最後に、エネルギー市場にも不確実性が影を落としています。一部のアナリストは、ホルムズ海峡の原油の流れがようやく正常化しつつあると楽観しています。弊社はそう見ていません。ロシアの精製能力に大きな混乱が生じていることも重なり、弊社は第4四半期の予想を、ブレント原油について1バレル当たり100ドル、欧州天然ガスについて1メガワット時当たり88ユーロへ引き上げました。 これら3つのテーマに共通する不確実性の一部は意図的なものです。また、起こり得る結果の幅が広いことを単に反映している部分もあります。フットボールでも市場でも、プレーを指示する側にいるときには、選択肢を残しておくことは価値があります。しかし、そのプレーに価格を付けることを求められる側にとっては、それほど魅力的ではありません。そして、それこそが問題なのです。多くの不確定要素があります。弊社は、投資家がそれに見合うだけの対価を十分に受け取っているか確信を持てません。9月のFRB会合がきわどい判断になること、季節的要因が逆風であること、そして予想ボラティリティが非常に低い水準にあることから、弊社はマクロ市場全体でボラティリティの上昇に備えたポジションを取り、モーゲージ担保証券には慎重な見方をしています。 クレジット市場では、足元の社債発行はすべて、キャパシティではなく価格の問題だと弊社は考えています。弊社は、今年の投資適格債の供給が過去最高になるとの見方を維持しており、スプレッドの拡大が調整弁になると見ています。また、無担保社債よりも担保付き資産を選好しています。そして原油が株式と債券の双方にとってリスクとなるなか、弊社の米国株式ストラテジストは、エネルギー株が魅力的なヘッジ手段になると考えています。 不確実性そのものには価値があります。想定される結果の振れ幅が大きい一方で、不確実性に対する市場の評価が低い局面では、投資家はより高い対価を求めるべきだと弊社は考えています。 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。