弊社債券リサーチ・グローバル責任者のアンドリュー・シーツが、ハンガリーの選挙におけるペーテル・マジャール氏の勝利が、EUとの関係改善および、同国資産のリスク・プレミアム低下をもたらす可能性について解説します。このエピソードを英語で聴く。 トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日のエピソードは、債券リサーチ・グローバル責任者のアンドリュー・シーツが登場します。最近ハンガリーで行われた選挙が市場に与え得る影響についての考察をお話します。このエピソードは、4月16日にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。ハンガリーの人口は、ニュージャージー州とほぼ同じくらいです。にもかかわらず、先週末行われた同国の選挙は全世界の注目を集めました。選挙では、2010年から首相を務めてきたビクトル・オルバン氏の政党と、かつての与党関係者からライバルへと転じたペーテル・マジャール氏が争いました。この投票は世界的に重要視され、そしてハンガリーの将来と欧州における立ち位置を問う国民投票とも見なされました。このため、事態を極めて重く見た米国の副大統領がオルバン氏の応援に駆けつけたほどでした。争点の一つは、ハンガリーと、欧州の政治・経済のより広い枠組みとの関係でした。ハンガリーは2004年から欧州連合に加盟していますが、オルバン政権下ではしばしばEUと対立してきました。これは欧州全体に影響します。というのも、制裁の発動、防衛政策、加盟国拡大といった重要な手続きの多くは加盟国の全ての承認が必要だからです。ハンガリーに限らず、いずれの一国でも反対票があれば、極めて大きな混乱を招く可能性があります。今月、欧州委員会の委員長は、投票制度の変更を進め、人口規模との連動を強める案を提起しました。ただし、ここには一つ問題があります。この変更自体も、全加盟国の賛成が必要なのです。では選挙の話に戻りましょう。結果は野党の圧勝で、ペーテル・マジャール氏の政党は国民議会199議席のうち138議席を獲得しました。2010年以来初となる今回の政権交代と、議席数の大差は、欧州にとって地政学的に重要な影響を及ぼすと予想されます。ただし、このポッドキャストは市場に焦点を絞ったポッドキャストですので、市場に注目して見ていきます。まず、ハンガリーで新たな政権が誕生すれば、EUとの関係が改善する可能性があります。そうなれば資金の流入につながる可能性があります。新政権の政策目標の一つである、凍結されているEU復興・強靭化基金の拠出再開が実現すれば、ハンガリーの潜在GDP成長率は1.0~1.5%程度高まる可能性があると弊社エコノミストは試算しています。さらに新政権は、単一通貨ユーロを導入する計画も提案しています。これら2つの展開は、ハンガリー資産に織り込まれているリスク・プレミアムの低下に寄与する可能性があります。投票後、ハンガリーの金利は低下し、通貨は上昇しましたが、弊社ストラテジストは、どちらもさらに動く余地があるとみており、金利はさらに0.5~1.0%の低下、通貨はさらに2~4%の上昇の余地があると考えています。また、ハンガリー株式市場は世界全体から見るとかなり小規模ですが、弊社ストラテジストはこの市場を選好しており、オーバーウェイトとしています。ハンガリーの今回の選挙は、世界の注目を集めました。まだ未知数の部分が多く残っていますが、欧州の他の国々との関係がより円滑になる見通しは、ハンガリーの資産にとっても、EU全体にとってもプラス材料です。ただし、エネルギーを巡る不確実性、相対的な企業利益、相対的な金融政策といった別の理由から、弊社は引き続き、欧州株や欧州国債よりも、米国株と米国債を選好しています。それでも、欧州の中長期的に注視すべき重要なストーリーという点は、間違いないと考えています。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。