市場の風を読む
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モルガン・スタンレーが配信する金融ポッドキャスト「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)では、マーケットに影響を与える様々な事象について当社のソートリーダーによる考察をお届けします。

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株式市場は勢いを持続できるか
APR 27, 2026
株式市場は勢いを持続できるか
米国の主な株価指数がここ数週間で急反発しています。強気相場の継続を下支えする可能性のあるファンダメンタルズについて、弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが解説します。 このエピソードを英語で聴く。 トランスクリプト  市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。 本日は最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、株価がこれほど上昇した後でも強気な見方を維持している理由についてお話しします。 このエピソードは4月27日 にニューヨークにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 テクニカルな観点から見るなら、米国株式市場は史上最大級の劇的な反発を経験したばかりだと言えるでしょう。何しろ、売られすぎの領域から買われすぎの領域へ、わずか12日間で駆け上がっているのです。いろいろな方々とお話しましたが、この動きの速さから当面の値動きが心配だとおっしゃる方もおられました。ですが、これはいつものことです。相場というものは、ひとたび動くと決めたら誰のことも待たずに動きます。 弊社が見る限り、この動きは去年 昨年と似ているように思われます。1年前には多くの投資家が、関税率引き上げの影響について考えを巡らせていましたが、今はそのときと同じように、コモディティ価格の上昇がインフレに及ぼすインパクトについて頭を悩ませています。たしかに、多くの企業が今後、川下に及ぶインパクトを一足遅れて感じることになるでしょう。ですが弊社では、株価指数や多くの業種はそうした懸念によるダメージをすでに十分受けたとみています。言い換えれば、株式市場は単にリスクを見越しただけでなく、株価に織り込んだのです。 まず、企業業績の見通しがかなり改善しています。向こう12ヵ月の増益率見通しは、1年前にはわずか9%でしたが、足元では25%に近づいています。また、成長するのは一握りの銘柄だけだと多くの評論家がコメントしているのをいまだに耳にします。大型株の比重が大きいS&P500種株価指数については、数学的にはそれももっともな指摘でしょう。ですがそれでは、予想増益率のメジアン(中央値)や小型株の予想増益率も2桁の領域にしっかり入っていることが認識されないことになります。 この調子は、景気がローリング・リセッションを経験していた3~4年間のそれとはかなり異なっています。また、弊社が1年前に提唱したローリング・リカバリー拡大説を裏付けてもいます。足元の第1四半期決算発表シーズンにおいて、1株利益が市場予想を上回った比率を指す「上振れ率」は、全体でみれば今のところ10%に達しています。これは長期平均の2倍にあたる値です。それ以上に重要なのは、第2四半期と向こう12ヵ月間の会社側ガイダンスがさらに2~3%引き上げられていることです。 利益の上振れ率とガイダンスのほかにも、弊社では設備投資のガイダンス、そして価格決定力を示唆する現象を注視しています。弊社は2026年に入るにあたり、今年は3つの追い風を受けて設備投資サイクルが勢いづくだろうと考えていました。1つ目は好調な利益とキャッシュフローです。これらは設備投資と相関関係にあることが多いためです。2つ目はBBB(大きくて美しい法案)による税制優遇。3つ目はAIの拡大と製造業のリショアリングを受けた力強い需要です。 この面においては、弊社の見解を支持する兆候がすでに見られます。設備投資額伸び率のメジアンはほぼ10%に達していますし、弊社のファクター分析も、高水準の投資を行う銘柄に市場が報いていることを示し続けています。5月、6月と時間が経過してもこうしたトレンドが継続していくことが重要です。ハイパースケーラーの決算発表が予定されている今週などは、特にそうです。 ポイントはもうひとつあります。イラン紛争の悪影響で川下部門のコストが増大しうることから、弊社では企業の価格決定力と売上高の耐久性が維持されているかを確かめたいと考えています。これらについても、指標は今のところ、弊社の見方を裏付けています。たとえばS&P500指数の売上高サプライズは平均を大きく上回り、2%近くに達しています。 最後になりますが、以前のポッドキャストでも指摘しましたように、市場が最後に乗り越えるべきハードルのひとつに、米連邦準備制度理事会(FRB)のスタンスが先日タカ派に転じたことが挙げられます。これは石油価格の上昇と、リーダーがジェイ・パウエル氏からケビン・ウォーシュ氏に代わることを受けたものです。 ケビン・ウォーシュ氏は先週、議会上院の指名公聴会に臨みました。そこでは、インフレのリスクが解消されていないことを指摘し、早期の利下げにいくらか慎重な姿勢を見せていました。また、FRBは昔から自らのバランスシートを用いて市場や景気に介入することを厭わないが、その介入が積極的すぎるという、定評ある批判も繰り返しました。 FRB議長が交代するときには、市場の側に一定の学習期間が必要になるのが通例です。新議長の決意を試したり、コミュニケーション・スタイルの解釈の仕方を理解したりする期間のことです。今回もその点に変わりはないはずですし、短期的には、債券市場のボラティリティが短期間ながら急上昇したり資金市場にストレスが加わったりすることで、株式相場がいくらか調整する場合があるかもしれません。 私自身は、財務省もFRBも最終的にはこうしたリスクを管理できるだろうし、強気相場は維持されるだろうとみています。 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
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7 MIN
ウォーシュ氏のFRB改革計画
APR 24, 2026
ウォーシュ氏のFRB改革計画
トランプ大統領が次期FRB議長に指名したケビン・ウォーシュ氏が、4月21日に上院で証言しました。弊社債券リサーチ・グローバル責任者のアンドリュー・シーツが、2時間半にわたる証言の重要なポイントを解説します。 このエピソードを英語で聴く。    トランスクリプト    「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。  本日のエピソードは、弊社債券リサーチ・グローバル責任者のアンドリュー・シーツがお届けします。次期FRB議長候補について、まずは全体像を見ていきます。 このエピソードは4月24日にニューヨークにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 金融市場が一度に複数のストーリーを追うことに苦労する場面は少なくありません。今回は、まさにその限界にさしかかっています。一方では、イランをめぐる情勢によって、世界のエネルギー市場で歴史的な混乱が続いています。もう一方では、企業の積極姿勢や活動の兆しから、この混乱が収束すれば、さらに大きな景気拡大につながる可能性が示唆されています。 M&A、設備投資、融資の伸び、そして利益成長はいずれも力強く、加速しています。そうした状況に、第三のストーリーとしてFRBが加わります。実際、イラン情勢も投資ブームも、中央銀行がこうした要因にどう反応すべきかという現実的な問いを投げかけています。 例えば、原油価格がさらに急騰した場合、中央銀行は、その後に起こり得るインフレに対抗するために利上げすべきでしょうか。それとも、原油高が景気を押し下げる可能性があるため、利下げすべきでしょうか。では、企業の積極姿勢についてはどうでしょう。企業の攻めの姿勢が強まる中で、FRBは市場の熱気を冷ますために利上げをして、景気が一段と過熱するのを避けるべきでしょうか。あるいは、投資が供給の拡大につながり、実際には物価を押し下げ、利下げを正当化するかもしれません。 こうした問いはFRB、とりわけ、トランプ大統領から次期FRB議長に指名されたケビン・ウォーシュ氏に重くのしかかることになります。今週、議長就任に向けた承認手続きの一環としてウォーシュ氏は上院で証言し、同氏の現在の考えについて、これまでで最も詳しい洞察が提供されました。 特に印象的だった点は、二つあります。第一に、ウォーシュ氏は、AIとテクノロジーへの歴史的な投資ブームが、生産性を押し上げる可能性が高いと考えています。他の条件が同じなら、生産性が上がれば、同じ人数の労働者で、より多くの財やサービスを供給できることになり、供給が増える分、相対的に物価は低くなり、インフレも抑えられます。投資による生産性向上への信頼こそが、足元のインフレ率が高くとも、利下げが可能と考える根拠になっています。 第二に、ウォーシュ氏は、バランスシートの過度の拡大から、コロナ禍後のインフレ抑制策の遅れまで、FRBが「道を見失った」と述べて批判しました。また、インフレ予測の手法、資産の運用管理、そして政策コミュニケーションのあり方などを含む、大幅な改革案を示しました。 ただし、次期FRB議長が直面する課題としては、経済面と同じくらい、人的側面も重要になるでしょう。FRBの意思決定は多数決で行われます。ウォーシュ氏は、テクノロジー分野で進む歴史的な投資サイクルがインフレを押し下げるという点に強い確信を持っているかもしれませんが、足元のインフレ指標がやや高めの局面で、他のメンバーもその見解に納得するでしょうか。さらに、ここ数年のFRBの対応を批判したことは、当時の政策運営に関わっていた同僚の支持を得るうえで、障害になるのでしょうか。それとも、新風を吹き込み、FRBが新たに出直すチャンスにつながるとして歓迎されるのでしょうか。 交代のタイミングが不透明であること、そして政策が依然として委員会次第であることを踏まえると、目先は市場が引き続き他の要因に注目するなか、FRBの政策も今のところは比較的小幅な変更にとどまる可能性が高いと弊社は見ています。ただし、引き続き注視する価値は十分にあります。 1979年以降、米国の中央銀行を率いるこの重要な役職を務めたのは、わずか5人です。まもなく6人目が誕生するかもしれません。 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
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6 MIN
投資テーマの交差が生む、市場をアウトパフォームする機会
APR 20, 2026
投資テーマの交差が生む、市場をアウトパフォームする機会
弊社テーマ別リサーチおよびサステナビリティリサーチ・グローバル責任者のスティーブン・バードが、2026年の主要な投資テーマがこれまで以上に相互につながり合い、投資リターンを創出している状況についてお話しします。 このエピソードを英語で聴く。   トランスクリプト    市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。 今日のエピソードでは、弊社テーマ別リサーチおよびサステナビリティリサーチ・グローバル責任者のスティーブン・バードが登場します。弊社が示した10の大きなテーマ予測がどのように実現し、世界の市場を動かしているのかを解説します。 このエピソードは4月20日にニューヨークにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 1月に弊社は、AIとテクノロジーの普及、エネルギーの未来、多極化する世界、そして社会の変化という4つの重要なテーマを提示しました。さらに、2026年を形作る力について、具体的に10のテーマ予測も示しました。驚くべきことに、この短い期間のうちに環境が実に急速に変わり、これらのトレンドは極めて大きな存在感を持つようになりました。 さらに際立つのは、こうした巨大な長期トレンドが1つに収束しようとしていることです。AIは、コンピューティング能力と電力に対するかつてない需要を生み出しています。エネルギーは各国にとって戦略上の優先課題になりつつあります。そして地政学は、その両方へのアクセスを左右しています。 では、最も重要な進展から始めましょう。AIの加速です。大規模言語モデルの開発が大きく前進することは想定していましたが、実際に起きているのは能力が劇的に飛躍する「ステップチェンジ」です。これが、コンピューティング能力に対する需要の異例の急拡大を牽引しています。世界のAI利用は週次ベースで急増しています。弊社は1週間に使われるトークン数で利用状況を測定しています。トークンは、テキストの最小単位を表すもので、コンピューティング需要を測る一般的な指標です。そのトークン利用量は、1月上旬以降、およそ約250%増え、1週間当たり6兆4,000億トークンから22兆7,000億トークンへと拡大しました。その結果、コンピューティング需要が供給を上回るようになりました。これは2026年を代表する投資ストーリーの1つで、弊社はこの投資機会の周辺に、アルファ創出の余地が多くあると見ています。 同時に、AIは労働市場も作り変えています。弊社の推計によれば、AIによる自動化または能力拡張が全職種の90%に影響を及ぼすと見られます。つまり、ほぼすべての仕事が何らかの影響を受けるということです。ただし、その影響は「0か1か」といった単純なものではありません。 そこで弊社は最近、AI導入の影響が最も大きいと考えられる5つのセクターについて、雇用への影響を評価しました。全体としては雇用が4%減ると予想され、その内訳は、職務そのものの廃止が11%、補充されないポジションが12%と見られる一方で、新規採用が18%あり、一部が相殺されます。つまり本質的には「変革」です。AIは、仕事の進め方を変え、単に雇用を代替するのではなく、役割そのものを再構築しています。 しかし、AIは何もないところでは作動しません。エネルギーを必要とします。これが1月以降の2つ目の大きな変化です。弊社は現在、世界のデータセンターの電力需要が2028年までにおよそ約130ギガワット増える可能性があると見ています。さらに米国では、その成長を支えるのに必要な電力供給能力が10~20%不足する恐れがあります。 これが、「エネルギーの未来」が極めて中心的なテーマである理由です。AIの成長は、利用可能なエネルギーの量、コスト、インフラに直結しており、加えて各国の政策との結びつきが強まっています。 そこで、三つ目の重要な展開が、地政学です。弊社もイランの紛争は想定していませんでしたが、供給の途絶が世界のエネルギーシステム全体に波及するなど、エネルギー市場に大きな影響を与えています。さらに視野を広げると、各国が自給自足を志向する動きが世界的に強まっています。これは、エネルギー、重要鉱物、テクノロジーといった分野で、今後何年にもわたり大きな推進力になるでしょう。これは、各国が主要な経済的投入要素の支配を優先する「多極化する世界」という弊社が提示したテーマとも明確に一致します。このシフトは、今年だけでなく、その先も長く市場を動かす主要な要因になる見込みです。 こうした大きな構造的な力は、すでにパフォーマンスにも表れています。弊社が主要テーマに沿って構築したカテゴリーは、2025年に平均で38%上昇し、S&P500を27%ポイント アウトパフォームしました。2026年も年初来で、12%ポイント アウトパフォームしています。最も堅調な領域は、まさにこうした力学を反映しています。すなわち、AIインフラ、エネルギー安全保障、防衛、ヘルスケア、そしてヒューマノイド・ロボティクスのような新興分野です。 では、弊社の予測を改めて見直して得られる教訓は何でしょうか。2026年に起きている最大の変化は、それぞれが単独で進むのではなく、主要テーマが交差する場所で生まれているという点です。AI、エネルギー、地政学は、もはや別々のストーリーではありません。いまや相互に深く結びついた力として、世界経済を形作っています。そして、その交差点を理解することが、今後何年にもわたって市場を理解し、アルファを生み出す鍵になるでしょう。 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
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8 MIN
GLP-1薬成長の真の原動力
APR 17, 2026
GLP-1薬成長の真の原動力
体重管理療法がこのところ急速に取り入れられていることは、医療はもとより消費者行動、さらにはグローバル市場にも影響を及ぼす可能性があります。弊社米国医薬品・バイオテクノロジー責任者のテレンス・フリンがご説明します。 このエピソードを英語で聴く。   トランスクリプト    「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。 本日は米国医薬品・バイオテクノロジー責任者のテレンス・フリンが、肥満症治療薬の次の成長局面、「GLP-1アンロック」すなわちGLP-1の解放についてお話しします。 このエピソードは、4月17日にニューヨークにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 医療の分野にはイノベーション、政策、そして患者の需要のすべてがひとつに収束する時期があります。そして収束するときのインパクトは医薬品にとどまらず、遠く離れたほかの分野にも及ぶことがあります。弊社では、肥満症治療薬「GLP-1薬」を用いる治療法がそのような時期に入っているとみています。弊社の推計によれば、肥満・糖尿病患者向けの肥満症治療薬の市場はピーク時で1900億ドル前後に達する可能性があります。以前の予想よりもかなり大きな数字ですが、これは市場が導入初期からより幅広くスケーラブルな拡大が見込める局面にシフトしたことの反映です。 GLP-1薬はここ2、3年で注目度が著しく高まっているものの、実際の普及率はまだ比較的低いのが実情です。治療に適した肥満症患者のうち、実際にGLP-1薬で今日治療を受けている患者の割合は、米国ではおよそ6%にすぎず、米国外ではわずか2%にとどまっています。したがって、これまでの成長は大幅ではあるものの、実はまだ初期段階なのです。だからこそ、今は非常に重要な時期だと言えます。 では、導入の次の局面を後押しする5つの原動力を見ていきましょう。 1番目は経口薬への移行です。体重管理療法は昔から注射薬で行われており、それが普及の制約になっています。しかし、飲み薬という新たな選択肢により、状況は変わりつつあります。特に、経口GLP-1薬利用者の80%弱は経口薬に初めて切り替えた患者であり、市場が今後実際に拡大してゆくことが示唆されます。 2番目の原動力は、メディケアを通じた利用機会の拡大です。米国の新たな枠組みでは、肥満症治療薬を利用できる機会が数千万人に上る高齢の患者に開かれます。自己負担額は月当たり50ドル前後にとどまる可能性があるようです。これは重大な変化です。肥満症治療薬の利用が大幅に拡大するかもしれません。 3番目は、薬価の引き下げと保険適用の拡大です。これらはすでに進行中で、患者の自己負担額の平均は 去年昨年の170ドルから120ドル前後に低下しています。また同時に、肥満症治療費の雇用主負担の割合も、去年 昨年の50%弱から およそ約65%に2027年までに引き上げられる見通しです。 4番目はグローバルな利用拡大です。米国外では、利用量は価格に比較的敏感なのですが、市場としての機会は巨大です。コストが下がり、かつ保険で利用しやすくなるにつれ、とりわけ中国やブラジルなどで導入が加速すると思われます、 5つ目の理由は、減量を超越するイノベーションです。今日では、体重管理療法を心血管疾患や腎臓病、さらには炎症や神経障害といったほかの病気や体調不良の改善に利用する研究がますます行われるようになっています。肥満症治療薬で対応可能な市場が、今後さらに拡大する可能性があるのです。 では、GLP-1薬市場はどこまで拡大する可能性があるのでしょうか。世界全体でいえば、GLP-1薬での治療に適した患者の数はおよそ13億人だと弊社では推計しています。そして弊社のシナリオの基本ケースでは、このうちのおよそ12%が2035年までに治療を受けるとともに、米国での普及率はおよそ約30%になると想定しています。するとこのレベルにおいてさえ、市場規模は1900億ドルになると試算されます。強気ケースでは、 およそ 約2400億ドルに達する可能性もあります。 しかし、この話は医療だけでは終わりません。弊社推計によれば、GLP-1薬の導入は米国のカロリー消費を2035年までに[6] およそ約1.6%減らす可能性があります。わずかな比率に聞こえるかもしれませんが、数量で考えれば大変な影響があります。消費者行動はもとより、食品、小売り、医療サービスといった産業にまで波及することになるでしょう。 そうです。これが「GLP-1アンロック」です。私たちは今、経口薬、利用機会の拡大、継続中のイノベーションという3つの原動力により、ひとつの大きな転換点に接近しつつあります。治療に適した患者のうち、実際に治療を受けている人の割合はまだ小さく、成長の余地はかなりあります。本質的には、これは慢性疾患の治療法とそれによる市場の再編という、長期的な構造変化なのです。 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
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7 MIN
市場が注目するハンガリーの政治的変化
APR 16, 2026
市場が注目するハンガリーの政治的変化
弊社債券リサーチ・グローバル責任者のアンドリュー・シーツが、ハンガリーの選挙におけるペーテル・マジャール氏の勝利が、EUとの関係改善および、同国資産のリスク・プレミアム低下をもたらす可能性について解説します。 このエピソードを英語で聴く。   トランスクリプト  「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。 本日のエピソードは、債券リサーチ・グローバル責任者のアンドリュー・シーツが登場します。最近ハンガリーで行われた選挙が市場に与え得る影響についての考察をお話します。 このエピソードは、4月16日にロンドンにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。 ハンガリーの人口は、ニュージャージー州とほぼ同じくらいです。にもかかわらず、先週末行われた同国の選挙は全世界の注目を集めました。選挙では、2010年から首相を務めてきたビクトル・オルバン氏の政党と、かつての与党関係者からライバルへと転じたペーテル・マジャール氏が争いました。 この投票は世界的に重要視され、そしてハンガリーの将来と欧州における立ち位置を問う国民投票とも見なされました。このため、事態を極めて重く見た米国の副大統領がオルバン氏の応援に駆けつけたほどでした。 争点の一つは、ハンガリーと、欧州の政治・経済のより広い枠組みとの関係でした。ハンガリーは2004年から欧州連合に加盟していますが、オルバン政権下ではしばしばEUと対立してきました。これは欧州全体に影響します。というのも、制裁の発動、防衛政策、加盟国拡大といった重要な手続きの多くは加盟国の全ての承認が必要だからです。ハンガリーに限らず、いずれの一国でも反対票があれば、極めて大きな混乱を招く可能性があります。 今月、欧州委員会の委員長は、投票制度の変更を進め、人口規模との連動を強める案を提起しました。ただし、ここには一つ問題があります。この変更自体も、全加盟国の賛成が必要なのです。 では選挙の話に戻りましょう。結果は野党の圧勝で、ペーテル・マジャール氏の政党は国民議会199議席のうち138議席を獲得しました。2010年以来初となる今回の政権交代と、議席数の大差は、欧州にとって地政学的に重要な影響を及ぼすと予想されます。ただし、このポッドキャストは市場に焦点を絞ったポッドキャストですので、市場に注目して見ていきます。 まず、ハンガリーで新たな政権が誕生すれば、EUとの関係が改善する可能性があります。そうなれば資金の流入につながる可能性があります。新政権の政策目標の一つである、凍結されているEU復興・強靭化基金の拠出再開が実現すれば、ハンガリーの潜在GDP成長率は1.0~1.5%程度高まる可能性があると弊社エコノミストは試算しています。さらに新政権は、単一通貨ユーロを導入する計画も提案しています。 これら2つの展開は、ハンガリー資産に織り込まれているリスク・プレミアムの低下に寄与する可能性があります。投票後、ハンガリーの金利は低下し、通貨は上昇しましたが、弊社ストラテジストは、どちらもさらに動く余地があるとみており、金利はさらに0.5~1.0%の低下、通貨はさらに2~4%の上昇の余地があると考えています。また、ハンガリー株式市場は世界全体から見るとかなり小規模ですが、弊社ストラテジストはこの市場を選好しており、オーバーウェイトとしています。 ハンガリーの今回の選挙は、世界の注目を集めました。まだ未知数の部分が多く残っていますが、欧州の他の国々との関係がより円滑になる見通しは、ハンガリーの資産にとっても、EU全体にとってもプラス材料です。 ただし、エネルギーを巡る不確実性、相対的な企業利益、相対的な金融政策といった別の理由から、弊社は引き続き、欧州株や欧州国債よりも、米国株と米国債を選好しています。それでも、欧州の中長期的に注視すべき重要なストーリーという点は、間違いないと考えています。 最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。
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