米国の主な株価指数がここ数週間で急反発しています。強気相場の継続を下支えする可能性のあるファンダメンタルズについて、弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、株価がこれほど上昇した後でも強気な見方を維持している理由についてお話しします。このエピソードは4月27日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。テクニカルな観点から見るなら、米国株式市場は史上最大級の劇的な反発を経験したばかりだと言えるでしょう。何しろ、売られすぎの領域から買われすぎの領域へ、わずか12日間で駆け上がっているのです。いろいろな方々とお話しましたが、この動きの速さから当面の値動きが心配だとおっしゃる方もおられました。ですが、これはいつものことです。相場というものは、ひとたび動くと決めたら誰のことも待たずに動きます。弊社が見る限り、この動きは去年 昨年と似ているように思われます。1年前には多くの投資家が、関税率引き上げの影響について考えを巡らせていましたが、今はそのときと同じように、コモディティ価格の上昇がインフレに及ぼすインパクトについて頭を悩ませています。たしかに、多くの企業が今後、川下に及ぶインパクトを一足遅れて感じることになるでしょう。ですが弊社では、株価指数や多くの業種はそうした懸念によるダメージをすでに十分受けたとみています。言い換えれば、株式市場は単にリスクを見越しただけでなく、株価に織り込んだのです。まず、企業業績の見通しがかなり改善しています。向こう12ヵ月の増益率見通しは、1年前にはわずか9%でしたが、足元では25%に近づいています。また、成長するのは一握りの銘柄だけだと多くの評論家がコメントしているのをいまだに耳にします。大型株の比重が大きいS&P500種株価指数については、数学的にはそれももっともな指摘でしょう。ですがそれでは、予想増益率のメジアン(中央値)や小型株の予想増益率も2桁の領域にしっかり入っていることが認識されないことになります。この調子は、景気がローリング・リセッションを経験していた3~4年間のそれとはかなり異なっています。また、弊社が1年前に提唱したローリング・リカバリー拡大説を裏付けてもいます。足元の第1四半期決算発表シーズンにおいて、1株利益が市場予想を上回った比率を指す「上振れ率」は、全体でみれば今のところ10%に達しています。これは長期平均の2倍にあたる値です。それ以上に重要なのは、第2四半期と向こう12ヵ月間の会社側ガイダンスがさらに2~3%引き上げられていることです。利益の上振れ率とガイダンスのほかにも、弊社では設備投資のガイダンス、そして価格決定力を示唆する現象を注視しています。弊社は2026年に入るにあたり、今年は3つの追い風を受けて設備投資サイクルが勢いづくだろうと考えていました。1つ目は好調な利益とキャッシュフローです。これらは設備投資と相関関係にあることが多いためです。2つ目はBBB(大きくて美しい法案)による税制優遇。3つ目はAIの拡大と製造業のリショアリングを受けた力強い需要です。この面においては、弊社の見解を支持する兆候がすでに見られます。設備投資額伸び率のメジアンはほぼ10%に達していますし、弊社のファクター分析も、高水準の投資を行う銘柄に市場が報いていることを示し続けています。5月、6月と時間が経過してもこうしたトレンドが継続していくことが重要です。ハイパースケーラーの決算発表が予定されている今週などは、特にそうです。ポイントはもうひとつあります。イラン紛争の悪影響で川下部門のコストが増大しうることから、弊社では企業の価格決定力と売上高の耐久性が維持されているかを確かめたいと考えています。これらについても、指標は今のところ、弊社の見方を裏付けています。たとえばS&P500指数の売上高サプライズは平均を大きく上回り、2%近くに達しています。最後になりますが、以前のポッドキャストでも指摘しましたように、市場が最後に乗り越えるべきハードルのひとつに、米連邦準備制度理事会(FRB)のスタンスが先日タカ派に転じたことが挙げられます。これは石油価格の上昇と、リーダーがジェイ・パウエル氏からケビン・ウォーシュ氏に代わることを受けたものです。ケビン・ウォーシュ氏は先週、議会上院の指名公聴会に臨みました。そこでは、インフレのリスクが解消されていないことを指摘し、早期の利下げにいくらか慎重な姿勢を見せていました。また、FRBは昔から自らのバランスシートを用いて市場や景気に介入することを厭わないが、その介入が積極的すぎるという、定評ある批判も繰り返しました。FRB議長が交代するときには、市場の側に一定の学習期間が必要になるのが通例です。新議長の決意を試したり、コミュニケーション・スタイルの解釈の仕方を理解したりする期間のことです。今回もその点に変わりはないはずですし、短期的には、債券市場のボラティリティが短期間ながら急上昇したり資金市場にストレスが加わったりすることで、株式相場がいくらか調整する場合があるかもしれません。私自身は、財務省もFRBも最終的にはこうしたリスクを管理できるだろうし、強気相場は維持されるだろうとみています。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。