弊社テーマ別リサーチおよびサステナビリティリサーチ・グローバル責任者のスティーブン・バードが、2026年の主要な投資テーマがこれまで以上に相互につながり合い、投資リターンを創出している状況についてお話しします。このエピソードを英語で聴く。 トランスクリプト 市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。今日のエピソードでは、弊社テーマ別リサーチおよびサステナビリティリサーチ・グローバル責任者のスティーブン・バードが登場します。弊社が示した10の大きなテーマ予測がどのように実現し、世界の市場を動かしているのかを解説します。このエピソードは4月20日にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。1月に弊社は、AIとテクノロジーの普及、エネルギーの未来、多極化する世界、そして社会の変化という4つの重要なテーマを提示しました。さらに、2026年を形作る力について、具体的に10のテーマ予測も示しました。驚くべきことに、この短い期間のうちに環境が実に急速に変わり、これらのトレンドは極めて大きな存在感を持つようになりました。さらに際立つのは、こうした巨大な長期トレンドが1つに収束しようとしていることです。AIは、コンピューティング能力と電力に対するかつてない需要を生み出しています。エネルギーは各国にとって戦略上の優先課題になりつつあります。そして地政学は、その両方へのアクセスを左右しています。では、最も重要な進展から始めましょう。AIの加速です。大規模言語モデルの開発が大きく前進することは想定していましたが、実際に起きているのは能力が劇的に飛躍する「ステップチェンジ」です。これが、コンピューティング能力に対する需要の異例の急拡大を牽引しています。世界のAI利用は週次ベースで急増しています。弊社は1週間に使われるトークン数で利用状況を測定しています。トークンは、テキストの最小単位を表すもので、コンピューティング需要を測る一般的な指標です。そのトークン利用量は、1月上旬以降、およそ約250%増え、1週間当たり6兆4,000億トークンから22兆7,000億トークンへと拡大しました。その結果、コンピューティング需要が供給を上回るようになりました。これは2026年を代表する投資ストーリーの1つで、弊社はこの投資機会の周辺に、アルファ創出の余地が多くあると見ています。同時に、AIは労働市場も作り変えています。弊社の推計によれば、AIによる自動化または能力拡張が全職種の90%に影響を及ぼすと見られます。つまり、ほぼすべての仕事が何らかの影響を受けるということです。ただし、その影響は「0か1か」といった単純なものではありません。そこで弊社は最近、AI導入の影響が最も大きいと考えられる5つのセクターについて、雇用への影響を評価しました。全体としては雇用が4%減ると予想され、その内訳は、職務そのものの廃止が11%、補充されないポジションが12%と見られる一方で、新規採用が18%あり、一部が相殺されます。つまり本質的には「変革」です。AIは、仕事の進め方を変え、単に雇用を代替するのではなく、役割そのものを再構築しています。しかし、AIは何もないところでは作動しません。エネルギーを必要とします。これが1月以降の2つ目の大きな変化です。弊社は現在、世界のデータセンターの電力需要が2028年までにおよそ約130ギガワット増える可能性があると見ています。さらに米国では、その成長を支えるのに必要な電力供給能力が10~20%不足する恐れがあります。これが、「エネルギーの未来」が極めて中心的なテーマである理由です。AIの成長は、利用可能なエネルギーの量、コスト、インフラに直結しており、加えて各国の政策との結びつきが強まっています。そこで、三つ目の重要な展開が、地政学です。弊社もイランの紛争は想定していませんでしたが、供給の途絶が世界のエネルギーシステム全体に波及するなど、エネルギー市場に大きな影響を与えています。さらに視野を広げると、各国が自給自足を志向する動きが世界的に強まっています。これは、エネルギー、重要鉱物、テクノロジーといった分野で、今後何年にもわたり大きな推進力になるでしょう。これは、各国が主要な経済的投入要素の支配を優先する「多極化する世界」という弊社が提示したテーマとも明確に一致します。このシフトは、今年だけでなく、その先も長く市場を動かす主要な要因になる見込みです。こうした大きな構造的な力は、すでにパフォーマンスにも表れています。弊社が主要テーマに沿って構築したカテゴリーは、2025年に平均で38%上昇し、S&P500を27%ポイント アウトパフォームしました。2026年も年初来で、12%ポイント アウトパフォームしています。最も堅調な領域は、まさにこうした力学を反映しています。すなわち、AIインフラ、エネルギー安全保障、防衛、ヘルスケア、そしてヒューマノイド・ロボティクスのような新興分野です。では、弊社の予測を改めて見直して得られる教訓は何でしょうか。2026年に起きている最大の変化は、それぞれが単独で進むのではなく、主要テーマが交差する場所で生まれているという点です。AI、エネルギー、地政学は、もはや別々のストーリーではありません。いまや相互に深く結びついた力として、世界経済を形作っています。そして、その交差点を理解することが、今後何年にもわたって市場を理解し、アルファを生み出す鍵になるでしょう。最後までお聴きいただきありがとうございました。今回も「市場の風を読む」Thoughts on the Market 、お楽しみいただけたでしょうか?もしよろしければ、この番組について、ご友人や同僚の皆さんにもシェアいただけますと幸いです。